USBインターフェースは通信だけでなく給電手段としても多用されており、USB Type-Cでは最大100Wまで電力供給を可能とするPower Deliveryもあります。
しかしPower Deliveryの登場前から問題になっていた製品仕様通りの給電能力がない周辺機器がPower Delivery対応機器でも増えてしまいました。そこで新たに製品の品質を保証するための認証規格が登場することになりました。そこで今回はUSB-IF正規認証機器についてご紹介します。
Power Delivery対応機器を選ぶときの注意点USB-IF認証はロゴだけではなくハードウェア認証として付与される
USB-IF認証取得済みの製品はパッケージにUSB-IFロゴと出力ワット数が表記されます。ユーザーはロゴを見るだけで必要とするワット数に対応する製品か瞬時に判断できるメリットがあります。
しかしUSB-IF認証のメリットはそれだけではなく、ハードウェア認証としても機能する点です。USB-IF認証用のプロトコルでチェック後に通信と給電を行うため、ユーザーはあらかじめUSB-IF認証機器だけ使用可能にする設定にしていけば粗悪品からハードウェアを守ることが可能です。
粗悪なUSB Type-C周辺機器は接続したハードウェアを故障させるリスクが大きい
Type-Cは様々なUSB規格をまとめるインターフェースですが、接続した機器同士が正常に使えるかどうかはケーブルや機器側の仕様と品質次第です。
中には過剰な電流が流れることをふせぐ抵抗部品が省かれているものや、仕様通りの電力を供給できないものなど新品にも関わらず必要な要件を満たさない製品が多く流通しています。
ケーブルだけとってみてもUSBのどの規格に対応しているか細かく記載されている製品はごくわずかで、購入して試すしかないケースが多々あります。そして仮に粗悪品を使うことで火災や機器の故障を招くリスクがあり、大電力に対応したUSB規格ほどその確率は上がります。
USB-IF認証はユーザーの手助けになるが普及するかは不透明
USB-IF認証は2016年に発表されましたが実際にUSB-IF認証機器が流通し始めたのは2年後の2018年からです。その後も大手メーカーから定期的にUSB-IF認証を取得した周辺機器がリリースされているものの普及速度は極めて緩やかです。
その背景としてUSB-IF認証用に新たな回路設計が必要な分だけ製造コストが上がり、ライセンス料もかかることで製品価格の勝負で負けてしまうことという障害があります。
まとめ
すでに仕様や品質の不明な製品であふれてしまっている現状を考えるとUSB-IF認証の必要性はあるものの、製造メーカーが負担するコストが大幅に下がらない限り業界標準になる日は遠いと言わざるを得ません。
しかし安価でリスクのある製品よりも割高なUSB-IF認証取得済み製品を選ぶ方が賢い買い物であることは疑いようがなく、詳しく見極める自信がないならUSB-IF認証機器だけを選べば間違いはありません。