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次世代大容量HDDを支えるアシスト記録

SSDが日々製品価格の低下と大容量化が進み、1GB当たりの価格が下がり続けているようにHDDもまた低価格と大容量化が進んでいます。HDDは主要な生産拠点が被災したことで価格が跳ね上がった時期もありましたが、SSDがシステムストレージとしての地位を確立してからは大容量化に特化させる方向へ舵を切ることで生き残っています。

しかし現在のHDDは更なる大容量化を目指す上で壁に直面しており、次世代のHDDではこの壁を越えるため新たな手法が生まれました。そこで今回は次世代大容量HDDを支えるアシスト記録についてご紹介します。

HDDの微細化は限界に達しつつある

HDDは複数枚のプラッタへデータを書き込むため、プラッタの枚数を増やす方法とデータを書き込む間隔を狭くする微細化を進めて大容量化してきました。

しかしこれまでの磁気ヘッドを使った記録方式ではこれ以上の微細化はできず、無理な微細化によってデータの安全性が損なわれる可能性がありました。そこでこれまで採用してきた磁気ヘッドに変わる新たなふたつの方式が考案されそれぞれ別の陣営が開発を行っています。

アシスト記録によって更なる微細化が可能になる

プラッタへ記録するデータの微細化を進める上で出てくる問題の中に、データ同士が近すぎることで保磁力と加熱時の安定性が低下するという現象があります。更なる微細化を進めつつ、この現象を克服するには現在採用されている磁性体よりも強力な保磁力を持つ磁性体に代えるしかありません。

しかし保磁力が増した分、書き込み時に必要なエネルギーも増やさなければ書き込みができず、磁気ヘッド側の改良も必要です。この改良こそがアシスト記録であり、今後のHDD業界を支える切り札とも言えます。

東芝とWDは高周波を使ったアシスト記録「MAMR」を開発中

東芝とWD陣営はヘッドへ高周波発生機構を追加したアシスト記録「MAMR」を開発中です。強力な磁性体へ書き込む際は高周波によって局所的に保磁力を下げて書き込みます。

MAMRを採用したHDDは2019年末から2020年には登場すると言われていますが、実際にどれくらいの書き込み速度があるかは不明です。

Seagateはレーザー加熱を使ったアシスト記録「HAMR」を開発中

東芝・WDとはライバル関係にあるSeagateはレーザー加熱によるアシスト記録「HAMR」を開発中です。書き込み時はプラッタを局所的にレーザー加熱することで保磁力を下げてから書き込みますがヘッドが高温にさらされることで製品寿命に影響が出る可能性を指摘されています。

しかし微細化の面ではMAMRよりもHAMRは優秀であると言われており今後リリースされるHAMR採用製品の価格と容量に注目です。

まとめ

HDDの大容量化は技術戦争でもあり、ふたつのアシスト記録のどちらが覇権を握るか競争が始まっています。どちらの技術もコストや微細化の度合いが異なるため、現時点でどちらが優秀かどうかは不明な上に実際の故障率が判明するには更なる年数が必要です。

ユーザーとしては更なる大容量化に期待をしつつも新たな技術が成熟するには膨大な運用データと改良するための期間が必要であることを忘れずにおきましょう。

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