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H.265コーデックの衰退とAOMedia Video 1 (AV1) について

ハードウェア・ソフトウェア共に多くが対応しているH.264は策定から10年以上が経過し、次世代の動画圧縮規格へ移行が始まろうとしています。

規格としては直接的な後継に当たるH.265がありますが、AOMedia Video 1 (AV1) のほうが有利な移行先と考える企業が増えており、その動向が注目されています。そこで今回はH.265コーデックの衰退とAOMedia Video 1 (AV1) についてご紹介します。

H.265は高額なライセンス料が問題化

H.265は権利を複数の団体が所有しており、H.265を採用する際には高額なライセンス料の支払いが必要です。かつてH.264も同様の問題を抱えていましたが、2013年に解決してから一気に普及が進んだ経緯があります。

H.265では2019現在になってもライセンス料の支払いが必要な状態が続いており、採用製品をリリースするメーカーにとって大きな負担となっています。

H.265はカメラなどハードウェアを中心に普及が進んでいる

防犯カメラなど需要が伸び続けている業界ではH.265の普及が進んでいます。ライセンス料を製造コストに乗せ、販売価格を上げることでメーカーの負担をユーザーに転嫁しています。

ユーザーにとっては導入コストが上昇するものの、保存媒体がH.264よりも節約できることを考えると利用形態次第ではかえって安くなるパターンもあります。このような背景からハードウェアへのH.265実装は特定の業界では積極的に進んでいます。

ソフトウェア側のH.265対応はライセンス料を転嫁できず遅れている

一方、ソフトウェアのH.265は遅れており、広告による収益などソフトウェア本体の売上に頼らない形態のメーカーではライセンス料を捻出できず普及が遅れています。

動画編集ソフトウェアでは大手メーカーの有償製品が主にH.265へ対応しているだけで、ユーザーが無料で使えるH.265対応ソフトウェアはほとんど存在しません。

H.265対応ハードウェアに付属する簡易編集ソフトウェアが無料で使える程度であり、対応する再生ソフトウェア・環境の少なさが編集後の公開範囲を狭める一因にもなっています。今後も対応ソフトウェアが大幅に増えない限りH.265の先行きは不透明です。

ライセンス料の不要なAOMedia Video 1(AV1)を後押しする流れが活発化

AOMedia Video 1(AV1)はライセンス料を無料で公開することを念頭に開発されており、途中からライセンス料が不要になったH.264やH.265とは対極の存在です。

開発も新設した非営利団体で行っており、性能面ではH.265より優秀と言われています。2018年に最初のバージョンが公表されてから現在も開発は継続しています。

今後はIntel、AMDといったハードウェアメーカーがサポートするようになればH.264に取って代わるポジションを確立できると見られています。

まとめ

一般ユーザーが最新の動画圧縮規格の恩恵を受けるには、ハードウェアによる再生支援と豊富な対応ソフトウェアが不可欠であり、その点だけを考えるならばH.265は非常に厳しいと言わざるを得ません。

もちろん特定業種におけるH.265普及は進んでいますが、H.264の時と同じくライセンス料問題が一気に解決しない間は急速な普及は見込めません。しかしAV1も登場したばかりで今すぐにあらゆる業界で採用できる段階に進んでいないことも確かです。

AV1を積極的に採用しようとする企業が増えているため、将来的にはH.265ではなくAV1が覇権を握ると予想されていますが今後の動向は要注目です。