建物内でネットワーク網を構築するときはLANケーブルとWiFiを使うことが一般的ですが、LANケーブルには物理配線の問題・WiFiには電波障害と減衰の問題があります。
それぞれ得意不得意な部分があり、特性に合った方法を選ぶことが重要ですがコンセントをLANケーブル代わりにするPLCを併用すれば効率よくネットワーク網を構築することも可能です。そこで今回はPLCを使ったネットワーク網の構築についてご紹介します。
電気配線を利用するためコンセントがあればPLCを接続できる
PLCは各部屋にあるコンセント同士をLANケーブルとして通信可能にする製品です。例えば、ルーターを設置した部屋からコンセント経由で隣の部屋はもちろん別の階にも接続できてしまいます。コンセントは全て分電盤へつながっているため、コンセントから分電盤を経て別の部屋へ通信できるのはこのためです。
WiFiが苦手なコンクリート壁や床を抜けて他の階へLANケーブルを敷設できる
PLCが得意とするのは分厚いコンクリート壁や建材に金属板が多用された物件です。このようなケースではWiFiが届きにくくLANケーブルを敷設するしかありませんが見た目が悪くなりやすく、敷設する経路上にある障害物を越えられてないことも珍しくありません。
しかしPLCなら空いているコンセントさえあれば多くの物件で使用でき、見た目もスマートです。
一カ所のコンセントでPLCと家電の両方を使うにはフィルター付きOAタップが必要
PLCを接続するコンセントには他の家電製品を接続しないことが基本です。もしPLCと併用すると通信速度が極端に遅くなるためPLC対応のフィルター付きOAタップを使用しましょう。
この専用OAタップなら一つのコンセントから従来通り給電とPLCを両立可能ですが、入手性が悪くPLC本体よりもOAタップを先に確保する必要があります。
極端に古い物件や増築された建物ではPLCが使えないケースも
PLCは極端に古い電気配線ではノイズによる減衰が激しく使用できません。築年数が30年よりも古い物件ではひとまずPLCを1セットのみ購入し、一番遠い部屋同士でどれくらいの通信速度が得られるかテストが必要です。
また増改築したことにより分電盤が分かれてしまっている部屋のコンセントとは通信が出来ない点にも注意です。
最大速度は100BASE-TXのため接続機器が多すぎると速度不足に
理論上の通信速度は200Mbpsほどですが実際の使用環境では半分以下の速度しか出ず、PLC本体のインターフェースは100BASE-TXが採用されています。
複数台でストリーミング視聴等データ量が多い場合は帯域不足に陥ることもあります。従ってすべてのネットワークをPLCのみで敷設することは避け、速度が求められる経路だけはLANケーブルやWiFi中継器を併用することが大切です。
まとめ
WiFi中継器が使えない物件や大がかりなLANケーブル敷設ができない賃貸住宅におすすめのPLCはスペックこそ低いものの一般的な用途なら十分活躍できます。
なにより設置が簡単でLANケーブル並の信頼性は非常に魅力的です。もしWiFiが届きにくくて困っている際や各部屋にLANケーブルを敷設することに躊躇している際はコンセントの活用を検討してみましょう。