パソコンは異常がなければ常に正しい時間で動いているため、作業中に時間を見るときは画面の右下を確認することも多いですが、まれにずれていることもあります。
数秒単位なら問題はありませんが、あまりにも大きく時計がずれると通常使用にも影響が出てくるため時計がずれ始めたら原因を調べる必要があります。そこで今回はパソコンの時計がずれることによる悪影響と予防法についてご紹介します。
時計がずれる原因はBIOSの初期化やバックアップ電池の消耗
時刻データはマザーボードのBIOSが保持しており、BIOSの設定情報と一緒に管理されています。BIOSのアップデートで初期化されると時計もリセットされ、初回起動時はBIOS設定の確認メッセージが表示されます。
BIOSの設定情報を保持し時を刻み続けるには電力が必要なため、マザーボード上にはバックアップ電池が取り付けられています。このバックアップ電池は通常数年で寿命を迎え、交換時期がやってきます。
もし完全に電池残量がなくなってしまうと時刻データはもちろんBIOSの設定情報もリセットされ、実質的に初期化状態になり数十年単位で日付が狂います。
日付が大きくずれるとネット閲覧が出来なくなる
現在WEBサイトはプライバシーや安全性の観点からSSL化が進んでおり、その通信にはSSL証明書が用いられています。このSSL証明書には有効期限があり、長いものは数年間・短いものは1年間使用されます。
もしパソコンの日付が大きくずれてしまうとSSL証明書の有効期間外という扱いになってしまい、通信が失敗するためネット閲覧できなくなります。
WindowsUpdateやウイルス対策ソフトの更新ができなくなる
WindowsUpdateやウイルス対策ソフトのウイルス定義ファイルにもSSL通信が多用されており、ネット閲覧同様に通信不能に陥ります。もし長期間使っていなかったパソコンの時計がずれていた際は時計を確認してからネットに繋ぐ必要があります。
ライセンス認証が切れて再認証が必要になるケースも
体験期間やライセンス認証されるまでの期間が設定されているソフトウェアでは日付が遡ると再認証を求められる場合があります。日付や時間の変更は簡単に検出できるため、不正に期間を操作しようと試みたと判断されると正しい日付に戻した後もライセンスエラーになることも珍しくありません。もし日付や時計が大きく狂っている際はソフトウェアの起動は避けるべきです。
ネットに繋がっていればNTPサーバーから正確な時刻を受信して修正される
バックアップ電池の消耗やわずかな時間のずれはどんな機器でも起こりうるため、Windowsにはネット経由で修正する仕組みが存在します。
Windowsは定期的にNTPサーバーと呼ばれる時刻データを配信するサーバーへ接続し、常に正しい時間へ修正してくれます。NTPサーバーへ接続するタイミングは基本的に自動で決まっていますが、時刻設定画面からユーザーが直接接続することもできます。
Microsoft公式のNTPサーバーは接続に失敗しやすい
Windowsに標準設定されているNTPサーバーはMicrosoft公式のサーバーが指定されていますが、日中などアクセスが集中する時間帯は接続エラーになることも多くあります。
せっかく自動でNTPサーバーへ繋がってもエラーになると確認も修正もされないため、エラーになりにくい国や研究機関が公開しているNTPサーバーへの設定変更がお勧めです。
デスクトップパソコンのボタン電池は簡単
デスクトップパソコンのマザーボードにはボタン電池が取り付けられており、簡単に交換できるため内部クリーニングもかねて数年おきに交換がお勧めです。電池残量が残っている状態で交換すれば初期化もされないため、トラブルを未然に防ぐためにも電池代100円の出費を惜しむ必要はありません。
ノートパソコンや一体型パソコンのボタン電池は交換が困難なケースも
ノートパソコンや一体型パソコンのマザーボードは特殊な物が多く、裏蓋を外すだけで電池を交換できるモデルは少数です。中には完全分解が必要だったりメーカーでしか電池交換できないモデルも存在し、特に薄さと軽さを意識した製品ではユーザーが安易に交換できないケースも珍しくありません。
まとめ
日付や時刻のずれはパソコンを使う上で深刻な影響を及ぼすことがある一方、原因となるボタン電池の価格は非常に安価です。
もしデスクトップパソコンのようにユーザー自身で交換できる機種なら積極的に交換し、NTPサーバーも変更すればより安定した環境を作ることができるため自分のパソコンが簡単に電池交換できるか確認してみることをおすすめします。