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物理破損したHDDからデータ復旧する方法

HDDは非常にデリケートであり、稼働中の衝撃や使用環境の温度変化などの影響を受けやすく故障率にも影響します。もしHDDが物理的に故障すると内部部品の交換や専門業者による高額な復旧作業なしにデータを取り戻すことは難しくなります。そこで今回は物理破損したHDDからのデータ復旧についてご紹介します。

ドナー用HDDを探せるかが復旧の鍵

HDDはひとつのモデルを複数の国・工場で長期間生産しており、製造ロットによっては内部パーツや細かな仕様に差があります。多くのデータ復旧業者はあらゆる時期に生産されたHDDをストックし、復旧に使用しているようにユーザー自身で作業を行う際も故障したHDDに製造ロットが近いドナー用HDDを入手する必要があります。

ドナー用HDDはネットオークションや中古販売されているものから探すことになりますが、もしメーカーパソコンなどで使われている特殊で流通量の少ないモデルの場合は入手できないことも多々あります。

メイン基板の破損なら交換するだけ

SATA電源コネクタの炎上やSATAインターフェースの破損・HDD基板の故障なら、ドナー用HDDから基板を交換するだけで復旧できる可能性が大です。

HDD基板だけなら製造ロットが離れていても流用できるケースもあり、HDD基板だけなら入手性が高く1度は試す価値があります。なおS.M.A.R.T.情報はドナー用HDDの内容である点を除けば通常通り利用できますが、復旧後は速やかにバックアップをとるべきです。

完全分解する際は簡易クリーンルームの準備とリスクの覚悟が必要

読み取りヘッドやデータが記録されているプラッタを回転させるモーターなどが故障している場合は完全分解が必要です。しかしHDDを開封し作業するにはホコリや微粒子がないクリーンルームが必要不可欠であり、一般ユーザーが用意することは困難です。

ビニール袋内をエアーダスターのガスで満たしクリーンルームに似た環境を作る方法がありますが、仮に失敗してもデータ復旧業者に依頼することができなくなるリスクは覚悟しなければなりません。

一度HDDを開封すると復旧率が極端に落ち、原因の調査が難しくなるという背景からユーザーが開封したHDDの依頼は断られることが多く仮に依頼できたとしても通常よりも高額な費用がかかります。

ヘッドやモーターの交換は慎重に

プラッタに傷などがなければドナー用HDDから読み取りヘッドやモーターを交換することで普及できますが、全てのパーツを一度取り外さなければ交換作業ができず慎重な作業となります。特に複数枚あるプラッタの表裏や順番を間違えると致命的な結果を招くばかりかデータが失われる危険があります。

ヘリウム充填モデルは専門業者へ依頼するしかない

一部のHDDは内部にヘリウムガスが充填されており、分解時にガスが抜けてします。ヘリウムガスは読み取りヘッドの制御精度を向上させるために充填され、大容量のHDDでは多く採用されています。

仮にユーザー自身でパーツ交換ができたとしてもヘリウムガスの再充填は難しく、このようなモデルではデータ復旧業者に任せるほかありません。

まとめ

HDDの分解は難易度こそ低いものの、作業上不可欠なクリーンルームやヘリウムガスの再充填といった一個人では難しい要素があります。短時間で取り出せる低容量のデータならクリーンルームに近い環境で作業する方法が有効ですが、1GBを超えるようなデータは逆に破損させてしまう可能性が高く成功する見込みは低くなることを覚悟する必要があります。

しかし専門業者に支払う金額を考えるとそこまで重要でないデータならユーザー自身で復旧を試みるという選択肢は魅力的であり、不要なHDDで練習してから検討してみることをお勧めします。

ゲーミングPC向けデータ用HDDの選び方」では5年保証のHDDをおすすめしています。やはり壊れにくいものを選んだほうがいいからです。