ユーザーの自己責任による改造が殻割りですが、CPU温度を大幅に下げることができるという魅力からヘビーユーザーやオーバークロッカーを中心に定番となりつつあります。
2012年頃に殻割りという言葉が生まれ、失敗が少なくなる専用ツールの普及やノウハウもある程度蓄積され徐々にハードルは下がりつつあります。そこで今回は殻割りに興味があるユーザー向けに殻割り定番ツールと実際の作業方法についてご紹介します。
おすすめの殻割りツール
殻割り専用ツールのスタンダード「Rockit 88」
Rockit 88はそれまでヒートスプレッダーを分離するためにカミソリや万力を使っていた作業を簡単かつ失敗なく作業するために作られた専用ツールです。CPUのソケット別に4種類が販売されておりオンラインで購入できます。
Rockit 88の中にCPUを固定し、ボルトでヒートスプレッダーを押し出すことで分離します。分離後に液体金属タイプのグリスを流布し、再びヒートスプレッダーを固定する際もRockit 88を使って固定します。
殻割りの代名詞「リキプロ化」
ドイツメーカーのCool Laboratoryが販売しているLIQUID PROのことをリキプロと略して呼び、リキプロを使って殻割りすることをリキプロ化と言われいます。シルバーやダイヤモンド配合のCPUグリスのスペックが数W/mk、止まりであるのに対し、リキプロは82W/mkと圧倒的な性能をほこります。その代償として通電性がある液体金属タイプのため取り扱いには注意しましょう。
無水エタノールと接着材
CPUコアやヒートスプレッダーの表面と裏面のグリスをきれいに拭き取る際に使用します。エタノールが含まれているウェットタイプクリーナーでも代用できます。
絶縁用の接着剤はヒートスプレッダーを外した後にCPU基板上の接点を塞ぎ、リキプロが触れてショートすることを防ぎます。高温にも耐えられる接着剤を選びましょう。絶縁用の接着剤とは別にヒートスプレッダーを再接着剤するためのゴム系接着剤も用意しましょう。
さらに冷却性能を向上させるならヒートスプレッダーを交換
標準のヒートスプレッダーを銅製のヒートスプレッダーに交換して冷却性能をさらに向上させる方法もあります。銅は熱伝導率が非常に高く高性能なCPUクーラーでも多く採用されています。
殻割りの流れ
Rockit 88でヒートスプレッダーを分離した後は無水エタノールでCPUコアなどをクリーニングします。CPU表面には金メッキされた部分があるので接着剤で絶縁します。接着剤が硬化した後はゴム系接着剤をヒートスプレッダーに塗り、再びRockit 88を使ってCPUとヒートスプレッダーを接着して完了です。
まとめ
初心者には敷居が高い殻割りですが、必要な費用は1万円ほどとパソコンパーツのアップグレードよりも安価です。専用ツールや作業手順の確立で失敗のリスクは大幅に少なくなっていますのでCPUグリスをアップグレードしてもあまり効果を感じられなかった際は殻割りを検討してみることをお勧めします。