ノートパソコンのCPUは長らくIntel製 CPUのモバイル版が定番でしたがより薄く携帯性を重視する方向に変わった結果、超省電力版CPUが主力となりました。超省電力版CPUは発熱を抑えるためにCPUコアを減らし、クロック周波数も抑えられており性能を犠牲にしています。
それでもOfficeや軽度の処理しかない法人用途向けノートパソコンでは需要があり続々と新世代の超省電力版CPUがリリースされています。そこで今回は法人用途向けAPUのRyzen PRO Mobileシリーズについてご紹介します。
Ryzen PRO MobileシリーズはIntelの超省電力版CPUへの対抗馬として登場
Intelの超省電力版CPUであるモデルナンバーの最後に「U」が付く製品がRyzen PRO Mobileシリーズのライバルです。これまでのRyzenシリーズ同様にRyzen 7 PROはCore i7、Ryzen 5 PROはCore i5、Ryzen 3 PROはCore i3相当のスペックであることを示しています。他にもPentiumやCeleron対抗としてAthlon PROが存在します。
Ryzen PRO Mobileシリーズのメリットはマルチスレッド性能と画像処理性能
シングルスレッド性能はIntel製CPUが強いものの、マルチスレッド性能はRyzen PRO Mobileシリーズに軍配が上がります。最近ではExcelの関数もマルチスレッドへ対応しており、処理の重いワークシートもマルチスレッド性能が高ければ超省電力版CPUであっても快適に編集可能になります。
さらにVega世代のRadeonを内蔵しているためIntel UHDグラフィックスよりも映像編集やレンダリング速度が優秀という点も軽度のクリエイティブな法人現場向きと言えます。
第2世代Ryzen PRO Mobileシリーズは新たなハッキング対策機能が追加
Ryzen PRO MobileシリーズはIntelに引けを取らない十分な性能を備えているだけでなく、セキュリティを重視する法人用途に欠かせないハッキング対策機能も有しています。
最近ではメインメモリに格納されているデータを抜き出す手法が増えていますが、第2世代Ryzen PRO MobileシリーズはFull Memory Encryptionを採用しメインメモリデータの暗号化を行っています。
法人向けに展開しているため一般ユーザーが気軽に購入することは困難か
多くの面で優秀なRyzen PRO Mobileシリーズですが国内パソコンメーカーを含め一般消費者用モデルはほとんどリリースされていません。リリースされていてもメーカーWEBサイトからしか購入できない等、購入方法が限られてしまっているというのが実情です。
今後デスクトップ版CPUのようにIntel製CPUのシェアが減り続ければ店頭でRyzen PRO Mobileシリーズを購入できるようになる可能性はありますが、当分先の話になりそうです。
まとめ
次々に脆弱性が見つかっているIntel製CPUに対し、新たなハッキング対策機能で優位に立とうとしているRyzen PRO Mobileシリーズは法人用途向けながら個人ユーザーにもメリットの大きい製品です。
パーツ交換できないノートパソコンならマルチスレッド性能やグラフィック性能も高いに超したことはなく、全体の性能バランスをみてもRyzen PRO Mobileシリーズは非常に高いレベルにあると言えます。
個人ユーザーが購入するには難しい面もありますがもし興味があるなら一台は購入しても損はしないAPUと言えるのではないでしょうか。