台湾メーカーのQNAPシステムズがリリースしているNAS製品は国内メーカーとは大きく異なる機能を有しているだけでなく、製品の開発コンセプトも独特です。
ネットワークストレージという本来の機能をユーザー視点で考え、従来のNASにはなかった機能を多く実装することで個人ユーザーはもちろん法人用途でも注目されています。そこで今回はQNAP製NASと便利な機能についてご紹介します。
QNAP製NASは内蔵ストレージ未搭載
QNAP製NASはNASキットと呼ばれる状態で販売されています。NASキットにはストレージが含まれておらず、別途準備しなければなりません。
ユーザーはNASの用途と予算に合わせて最適なHDDを選ぶことができ、最初はストレージ1台で運用して後から台数を増やしていくことも可能です。最近ではレスポンス重視で注目されているSSDを搭載したNASもNASキットなら簡単に構築できます。
ユーザーが選んだストレージを組み込めるNASは貴重な存在
NASキットは国内メーカーからはほとんど発売されておらず、国内市場に流通しているNAS製品の多くがストレージの変更ができません。Buffaloなど有名メーカーであってもNASの内蔵ストレージを交換すると正常に動作しないよう制限をかけるなどユーザビリティーへの配慮がされていない状況です。
NASはその性質上、大切なデータを預ける製品ですが内蔵ストレージに信頼性の低いHDDを採用することで低価格を実現したモデルが多く、買い換えサイクルを早めようとする意図が見て取れます。このような背景からユーザーが高品質なストレージを選択できるNASキットはパソコン上級者を中心に広まりつつあります。
WEBサービスやWEBアプリをNAS上で実行できサーバーいらず
QNAP製NAS最大の特徴は数多くのWEBサービスとWEBアプリをインストールできることです。WEBサイトに必須のWordPressはもちろん、クラウドストレージなど多種多様なパッケージを無料で利用できます。
ストア内から必要なアプリのインストールボタンを押せば導入が完了し、サーバー構築でつまずきやすいインストールトラブルとは無縁です。また、サーバーを立てることや有料のWEBサービスの契約を考えている際は毎月のランニングコストで比較するとQNAP製NASで運用した方が安上がりなこともあるため、一度全体のコストを試算してみることをおすすめします。
ARM CPUを採用したモデルは低価格だがインストールできるアプリが制限されている
便利なQNAP製NASのアプリですが、NASのCPUによって使えるアプリの種類が限られることがあります。特に安価なモデルで採用されているARMアーキテクチャのCPUでは使用可能なアプリが各ジャンルの代表的なものに限られます。
QNAP製NASで使えるアプリの数が膨大なだけに、せっかく購入するなら制約のないIntel CPUモデルを選びたいところです。
上位モデルはHDMI出力やPCI-Expressスロットがありパソコンとしても使える
QNAP製NASの上位モデルではNASという枠を飛び出し、パソコンとしても使うことができます。QNAP独自のデスクトップ画面はシンプルで分かりやすく、ブラウザやメディアプレイヤーを導入すれば様々な業務にも利用可能です。
普段使いはもちろん、メインパソコンが故障した時に予備のパソコンとしても活躍できます。またPCI-Expressスロットには有線LANやWiFiインターフェースを追加して利用する幅を広げられる他、CPUを追加して処理能力を向上させることもできます。
まとめ
QNAP製NASは他メーカーにはない柔軟性と多機能を両立した製品と言えます。CPU性能やメモリ容量が多い分、価格は高いものの一般的なNASではなくサーバーやパソコンとして活用できることを考えると妥当な価格に収まっています。
国内メーカーが販売するシンプルなNASも悪くありませんが、せっかく購入するならもっと自由度の高いNAS製品のほうが楽しみながら環境構築することができますし、いざという時のトラブルもユーザー自信で解決できるため、もしNASやサーバーの導入を検討している際はQNAP製NASから始めてみることをおすすめします。