ゲーミングPCはSSDが当たり前ですが、家電量販店や一般向けのパソコンはまだまだHDDが主流です。今回はその理由とSSDの種類と選び方についてご紹介します。
同じ価格で容量が多いのはHDD
HDDもSSDも年々容量は増え続けていますが、製造コストはHDDの方が安く大容量に特化しているため同じ価格帯ではHDDの方が保存容量が多いのが現実です。4K動画の保存や1ファイルの容量が大きいデジタル一眼カメラの写真データ保存など大容量ストレージの需要は増えており、今後も価格で有利なHDDは消えることがないでしょう。BTOゲーミングPCでもSSDをメインストレージ、HDDをデータ保存用のストレージとする構成が多くあります。
HDDは耐久性と使用環境に注意
保存容量が多くSSDに比べ安価なHDDですが、使用中はHDDのモータや基板から熱が発せられ冷却が必要です。冷却が不十分で50度を超えるとHDDの故障率が上がる傾向があります。またHDDが読み書きをしている最中は衝撃を受けるとデータの消失や内部部品同士が接触して破損を招きます。外付けHDDを猫やペットが倒して故障するのはこのためです。
HDDの上下を間違えると危険
さらにHDDを取り付ける際には正しい面が上を向くように設置しないと故障率が上がるという特性もあります。BTOやまともなパソコンケースでは正しい向きにしか取り付けできない設計のため間違いようがありません。しかし超小型デスクトップパソコンやノートパソコンの中には意図的にHDDが逆さになるように設計している製品も存在します。
このような製品は修理や買い替えを促進する目的で設計されており、HDDモデルのパソコンを購入する際はHDDの取り付け方法に注意が必要です。マニュアルやカタログにHDDの取り付け位置が掲載されていたり、ユーザーがメンテナンスしやすい設計になっている機種は良心的ですが、そうでない怪しい機種はWEBで分解レビューを探したりメーカーに確認してからの購入がお勧めです。
HDDについては「ゲーミングPC向けデータ用HDDの選び方」でさらに詳しく解説しています。
SSDは速さが命
HDDよりも高価なSSDですが、データの読み書きがHDDよりも早く、データ量が多くプレイ中も頻繁にデータをロードするゲームとの相性が良いことが特徴です。OSの起動もSSDなら圧倒的に早くなります。
HDDはプラッタと呼ばれるディスクに読み書きをするため、データがディスクの中でバラバラに保存されて断片化を起こし、速度が低下するため定期的なデフラグが必要です。デフラグはHDD容量や断片化の度合いにもよりますが数時間かかることも珍しくありません。しかし半導体に記録するSSDではTrimの実行により断片化の影響は非常に少なく、安定して高速な読み書きができます。現在販売されているWindows10は自動的にTrimを実行してくれるためユーザーが気を使う必要がありません。
低発熱で省エネもSSDの魅力
モバイルパソコンやタブレットパソコンでもSSDを採用しているモデルが多いですが、HDDよりもコンパクトなだけでなくバッテリー駆動時間を延ばせるというメリットがあります。
HDDのようにモーターがないSSDは消費電力が少なく、排熱も少ないため排熱のために性能を犠牲にすることが多いノートパソコンとの相性が良いです。ゲーミングPCも排熱は少ない方が良く冷えるため、SSDだけで使用上問題なければHDDは内蔵せず外付けで運用が望ましいです。
SSDの空き容量が50%以下にならないように容量と耐久性で選ぶ
HDDの製品寿命は使用環境・使用時間・電源投入回数の3要素で決まりますが、SSDは半導体のデータ書き込み回数で決まります。一般にハイエンドなSSDほど書き込み可能なデータ量が多い傾向にあります。
BTOパソコンの場合、SSDの速度は表記があってもSSDメーカーが公表している総書き込み可能データ量の記載がないケースがあるため注意したいところです。すでにSSDを使っているユーザーならストレージの健康状態を記録しているS.M.A.R.T.を表示できるソフトを使い残り寿命を確認することができます。
またSSDの容量を選ぶ際は、ゲームのインストール時に要求される容量や過去のアップデータ容量から推測して空き容量が50%以上になるように選びましょう。SSDは空き容量が少なくなると速度が低下するため、大容量のアップデータをダウンロード・解凍・インストールするオンラインゲームは一時的にストレージの容量が不足しインストールに失敗するだけでなくパフォーマンス低下も招きます。
まとめ
価格ではHDDにかなわないSSDですがその性能はゲーミングPCになくてはならないものです。メインストレージをHDDからSSDに変えるだけで普段使いの待ち時間も減り、イライラからも解放されます。両者の特性を理解し、適切に使い分けることで長く安心して使えるパソコンになります。
SSDにすると決めたなら「SSDの種類と選び方」でさらに細かい分類を学んでください。サイズ、速度、価格が種類によって大きく変わってきます。