コンパクトで高速なM.2 SSDはゲーミングノートPCだけでなくデスクトップPCにも多く採用されています。SATAタイプのSDDよりも高速な反面、発熱が多く性能を十分に発揮するには十分な冷却が必要不可欠です。しかしBTOメーカーに限らず十分な冷却性能を持たせた状態で出荷されているゲーミングPCは多くありません。そこで今回はM.2 SSDのパフォーマンスを安定させるヒートシンクについてご紹介します。
サーマルスロットリングがM.2 SSDを守っている
M.2 SSDが過度に発熱すると製品の破損と低寿命化を防ぐために性能を低下させ、更なる発熱を抑制するサーマルスロットリングが働きます。放熱不足で性能が低下するのはCPUやグラフィックボードも同じですが、M.2 SSDの場合は大型のヒートシンクを装着しにくく他のパソコンパーツよりも改善が難しいという面があります。
M.2 SSD専用のヒートシンクは汎用性に乏しい
M.2 SSDはマザーボードに直接接続されることが多く、CPUクーラーやグラフィックボードに近いためヒートシンクが入るかどうかはマザーボードとパーツ構成次第です。ヒートシンクを購入する前にはM.2 SSD周辺の空間を入念に計測しましょう。小型の冷却ファンを搭載可能なヒートシンク製品もありますが風量が少ないため効果は限定的な点に注意です。
M.2 SSD用ヒートシンクは主に3タイプ
放熱フィンタイプ
M.2 SSDの真上に空間がある際は放熱フィンを採用したヒートシンクが使用出来ます。放熱フィンで表面積を増やしパソコンケース内のエアフローや小型ファンを使って冷却します。M.2 SSDとは熱伝導性の両面テープを使用する製品が多く、M.2 SSDの製品ラベルが見えなくなるため必要に応じて写真などに記録を残しておきます。
冷却板タイプ
M.2 SSDの真上に空間がなくパーツと干渉する場合は厚みのある放熱板を貼り付けます。一枚板のシンプルなものからM.2 SSD基板を挟み込む製品までバリエーションがあります。いずれにしても効果は限定的ですが放熱性能の底上げにつながります。もし装着後も効果を感じられない場合は後述のPCI-Express変換タイプの購入を検討しましょう。
PCI-Express変換タイプ
M.2 SSDをマザーボードではなくPCI-Expressタイプの変換カードへ接続し、大型のヒートシンクを使用可能にします。拡張カード分のスペースが必要になりますがパソコンケース内の最下部に位置するため少ないエアフローでも十分冷却できる見込みが高いです。
まとめ
大きければ大きいほど良いヒートシンクですが、M.2 SSD基板が元々小さく各メーカーが工夫を凝らした製品を続々開発しています。最近ではM.2 SSD用ヒートシンクを意識したマザーボードも登場し、徐々にM.2 SSDを取り巻く環境は良くなりつつあります。スペースの問題でM.2 SSD用ヒートシンクを取り付けられないパソコンであっても今後使用可能な製品が発売される可能性も十分にあるため、新製品を定期的にチェックすることをお勧めします。
M.2やSATAなどサイズ規格や接続方式の違いについては「SSDの種類と選び方」で解説しています。